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士業事務所の新規顧客獲得を考える。紹介営業だけに頼らない「企業間提携」という選択肢

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士業事務所の新規顧客獲得を考える。紹介営業だけに頼らない「企業間提携」という選択肢

紹介は強い。でも、「紹介を待つ」だけでいいのか。

紹介は強い。でも、「紹介を待つ」だけでいいのか。
士業事務所にとって、紹介は非常に相性の良い顧客獲得方法です。

既存顧客や知人、他士業からの紹介であれば、すでに一定の信頼関係がある状態から相談が始まるため、士業の専門性とも親和性があります。

一方で、紹介には「いつ、誰から、どのような相談が来るのか」を自分たちでコントロールすることが難しいという側面もあります。

どのタイミングで紹介が発生するのか。どのような相談が来るのか。どの業界から相談が来るのか。

紹介者の人脈やタイミングに左右される部分が大きいため、紹介だけを新規顧客獲得の柱にしてしまうと、どうしても受け身になりがちです。

だからこそ、紹介を大切にしながらも、紹介が来るのを待つだけではなく、自分たちから新しい接点をつくる方法も考えておきたいところです。

その一つが、「企業間提携」という考え方です。

「顧客を探す」から、「顧客とつながっている企業を探す」へ。

新規顧客を増やそうとすると、多くの場合、「どうやって見込み客を探すか」を考えます。

しかし、視点を少し変えてみると、新しい可能性が見えてきます。

それは、

「自分が支援したい企業と、すでに接点を持っている企業はどこなのか」

と考えることです。

例えば、運送業に強い社労士事務所なら、運送会社を一社ずつ探すだけではありません。

運送業向けの採用支援会社、経営コンサルティング会社、業界向けシステム会社、運送業に詳しい税理士など、運送会社と日常的に接点を持つ企業があります。

つまり、顧客そのものを探すのではなく、顧客とつながっている企業との接点をつくる。

これが企業間提携の基本的な考え方です。

そして、企業間提携というのは、単純に「お互いに顧客を紹介しましょう」という話だけではありません。

例えば、採用支援会社と社労士事務所を考えてみます。

採用支援会社には、採用に課題を抱える企業との接点があります。

その企業の中には、採用だけではなく、就業規則や労務管理、人事制度などの課題を抱えている企業もいるでしょう。

そこで社労士が専門性を提供できれば、採用支援会社にとっても顧客への提供価値を高めることができます。

社労士側にとっても、これまで接点のなかった企業とつながるきっかけになります。

大切なのは、「紹介する側」と「紹介される側」という一方向の関係ではなく、「それぞれの専門性を活かして企業を支える関係」をつくることです。

専門性が明確な士業ほど、「誰とつながるか」が重要になる。

士業事務所には、それぞれ得意とする分野があります。

「運送業に強い社労士」

「医療法人に強い税理士」

「外国人雇用に詳しい行政書士」

「相続・事業承継を専門とする司法書士」

など、専門性が明確であるほど、その専門分野を必要とする企業との接点が重要になります。

例えば、外国人雇用を専門とする行政書士なら、外国人材紹介会社や登録支援機関、外国人採用支援会社など。

介護業界に強い士業なら、介護経営コンサルティング会社や介護DX企業、介護人材会社など。

「自分の専門性を必要としている企業は、どこにいるのか」

そして、

「その企業と接点を持っているのは、どんな会社なのか」

ここまで考えることで、提携先の候補が見えてきます。

企業間提携を始める際、最初にやるべきことは「提携先を探すこと」ではありません。

まず、自分たちがどんな企業とつながりたいのかを整理することが重要です。

例えば、

「中小企業と接点を持つ採用支援会社とつながりたい」

「介護事業者を支援するコンサルティング会社とつながりたい」

「外国人雇用を検討する企業と接点を持つ会社とつながりたい」

など。

さらに、

「なぜその企業とつながりたいのか」

「自分たちは何を提供できるのか」

「相手側にはどんなメリットがあるのか」

まで整理すると、単なる「紹介してください」というお願いではなく、双方にとって意味のある提携の話ができるようになります。

提携先は「多ければいい」ではない。「相性」と「提供できる価値」が重要になる。

企業間提携では、提携先の数だけを増やす必要はありません。

重要なのは、自分たちの専門性を必要とする企業と接点を持っているかどうかです。

10社とつながっても、お互いの顧客層がまったく違えば、その関係は続きにくいでしょう。

一方で、1社であっても、

顧客層が近い
専門領域が補完関係にある
お互いの顧客に提供できる価値がある
継続的に情報交換できる

という関係であれば、長期的な提携につながる可能性があります。

だからこそ、

「何社とつながるか」ではなく、「どんな企業とつながるか」。

これが企業間提携を考えるうえで重要なポイントです。

また、企業間提携の価値は、新しい顧客との接点を増やすことだけではありません。

異なる専門性を持つ企業とつながることで、自分たちだけでは対応できない相談に対して、適切な専門家を紹介できるようになるというメリットもあります。

例えば、

税務の相談を受けた社労士が税理士につなぐ。

採用相談を受けた税理士が社労士や採用支援会社につなぐ。

介護経営の相談を受けた士業が、介護DXの専門会社につなぐ。

こうした関係ができれば、自分たちの専門性だけでは提供できなかった価値を、顧客に届けられるようになります。

企業間提携は、単に「顧客を紹介してもらう仕組み」ではなく、顧客に提供できる価値そのものを広げる仕組みでもあります。

「紹介を待つ」から、「提携先を探す」という発想へ。

これまで築いてきた顧客や人脈から生まれる紹介は、これからも士業にとって大切な顧客接点です。

ただ、そこにもう一つの選択肢を加えてみる。

「自分たちから、必要な企業との関係をつくりにいく」

という考え方です。

「どんな企業から相談を受けたいのか」

「その企業は、普段どのような会社と接点を持っているのか」

「その会社と組むことで、顧客にどんな価値を提供できるのか」

まずはこの3つを考えてみる。

紹介を待つだけではなく、自ら提携先を探す。

それが、士業事務所にとって新しい顧客接点をつくる一つの方法になるかもしれません。

士業にとって、信頼関係は何よりも大切です。

だからこそ、広告や一時的な集客施策だけではなく、他の専門家や企業と継続的な関係を築くことには大きな意味があります。

「紹介」+「企業間提携」。

この二つを組み合わせることで、新しい企業との接点が生まれ、自分たちの専門性を必要としている企業へ届く可能性も広がります。

紹介を待つだけではなく、必要な企業との関係を自らつくっていく。

これからの士業事務所の新規顧客獲得を考えるうえで、「企業間提携」という選択肢を持っておくことは、これまでとは違った可能性を生み出すきっかけになるのではないでしょうか。